小学校の先生、転職する!

小学校で長く働いたけれど、耐え兼ねて転職を決意した先生のブログ

教員免許って?どんなもの?どんな資格?

さて、転職までの道筋を振り返るブログから、寄り道をします。昨今、文部科学省でも提案された臨時教員免許状が話題になっていますね。(ん?世間ではそうでもないかな?)

そこで今回は改めて教員免許って何?って所をわからない人が読んでもそれなりに理解できるように書き、なぜ今ニュースになっているのかを分かりやすく伝えていこうと思います。お付き合いよろしくお願いいたします!

今回の記事は、文部科学省がHPにアップしている「教員免許制度の概要」を基に作成しております。詳しく知りたい方は

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyoin/__icsFiles/afieldfile/2019/09/09/1339300_1.pdf

を御覧ください。では、いこう!

 

 

1.教員免許って何?

本の学校で教員として働くために必要な資格。持っていないと教壇に立てない。

正しい名称は教員免許状と言います。

学校の種類(校種)や指導できる分野、取得の仕方でいくつか分類することが出来ます。

これぐらいなら、なんとなく分かりますよね?先生のための資格ってことです。

 

2.教員免許の取得方法

教員免許の取得のためには、以下の3種類の方法があります。

 

①教職課程等を有している大学等で必要単位を取得して、各都道府県の教育委員会に申請する。

②教員資格認定試験に合格する(ただし、幼稚園・小学校・特別支援学校自立支援のみ実施)。

③各都道府県の教育委員会が実施する教育職員検定(人物・学力・実務・身体面)を合格する。

 

実際に教員免許を取得する場合は、①がほとんどだと思います。教育学部や教育大学で必修授業になっていて、卒業と同時に取得できたり、教育学部がある大学で違う学部生だけど、必要単位を履修して取得できたり、社会人で通信制教育学部で必要単位を履修して取得できたり、色々な方法があります。

②は①を踏まえていない人でも教員免許を取得出来る機会を与えて、幅広く人材を確保しようと文部科学省が実施しているものです。ただし、なかなか難易度が高いようです。合格基準は公表されていませんが、サイトに依っては合格者が15%ほどのようです。

③については後述します。

 

3.教員免許は国家資格ではない!

上記しているように、教員免許は各都道府県教育委員会が発行しているものなので、国家資格ではありません。ただし、取得すればどこの自治体の委員会で発行してもらったかは関係なく、日本全国で教員として働けるので特に問題はありません。

また、一般企業の資格としても記入する事が出来ます。その企業が教育業界なら、少し有利に働くかもしれません。逆に「教員免許持ってるのに、何で一般企業を受けてるの?」って面接で聞かれるかもしれませんが…

 

4.教員免許の種類って?

1.でも書いたように教員免許は校種や指導できる分野で分類することができます。

少し細かい話になる免許もあるので、懲りずに読んでくださいね。

 (1)普通免許状

  2.①②を経て得られる免許状です。教諭(教員の事)・養護教諭(保健室の先生の事)・栄養教諭(給食・栄養指導の先生の事)として働けます。

 また、教諭に関しては校種によって小学校・中学校・高等学校に分けられます。

 さらに、中学校・高等学校に関しては指導できる教科毎に免許があります。

 さらにさらに!普通免許状には、二種・一種・専修と3つのランクがあります。

 二種から専修にかけて、ランクアップしていく感じです。二種免許状は短期大学卒業相当、一種免許状は大学卒業相当、専修免許状は大学院修了相当の違いです。しかし、指導できる範囲に違いはありませんので、ご安心を。(高等学校には二種免許状はありません。)

 しかし、勤務する自治体によっては、二種免許状だと管理職になれない、給料が少し下がる、専修免許状だと給料が少し上がるといった違いがあるようです。各都道府県教育委員会に確認してくださいね。

 情報量が多いので、一旦まとめましょう。

 普通免許状は、指導できる校種、教科、ランクによって分けられます。

 ただし、養護教諭栄養教諭には校種の違いは有りません。

 免許の記し方は以下のようになります。

 例1 小学校教諭一種免許状

 例2 中学校教諭専修免許状(数学)

 例3 栄養教諭二種免許状

 これらが、日本全国の先生のほとんどが持っている普通免許でした。細かいけれど、分類の仕方が単純だから難しくはないと思います。以降は特殊な免許状の説明をしていきます。

 

 (2)特別免許状

 2.③を経て得られる免許状です。教諭として働けます。社会人経験が有り、教育職員検定に合格して発行されます。また、任命・雇用する者の推薦が必要です。しかも、教科に関する知識経験技能が必要で、社会的信望があり、教員の職務に対する熱意と識見が必要となります。これだけでも分かりますが、難易度は普通免許状よりも高いみたいです。しかも、この特別免許状は発行した都道府県教育委員会の学校でしか有効ではありません。

 こちらの免許を持っている方を11年間教員として働いてきて、会ったことはありません。難易度高すぎです。これなら、社会人で通信教育学部で受講して取得した方が楽だし、速い気がします。

 

 (3)臨時免許状

 さぁ話題になっている免許状にまでたどり着きましたよ!以下説明

 2.③を経て得られる免許状です。助教諭・養護助教諭として働けます。普通免許状を有する者を採用することができない場合に限り、教育職員検定を合格すると発行されます。この免許状は、(2)の特別免許状と同じく発行された都道府県教育委員会の学校でのみ有効です。また、3年間の期限付きです(教育委員会がその間に人員を確保できなければ、最長6年まで延長できます)。

 (2)の特別免許状と検定を受けるのは同じですが、条件がゆるゆるだと思いませんか?そう、これは唯一採用する側の都合で発行される免許状なのです。

 推測ですが、足りないって言っている自治体に応募者が殺到するとは思えません。だから、応募した人はかなり高い確率で合格して、臨時教員免許状が発行されて働くことになるんじゃないでしょうか?

 また、助教諭・養護助教諭という「助」の字ですが、ほとんど関係ないのではないのでしょうか?末松文部科学大臣が足りない人員は臨時教員免許の発行で補うと言っていましたから、教諭と養護教諭と同等の仕事内容だと思います。

 

5.何で臨時教員免許状の発行に至ったのか?

結論は単純で「教員になりたい人が減った、教員を辞める人が増えた」です。

その理由は、労働環境の悪化とその顕在化でしょう。

教員はやる事が年々増えています。時間内に業務が終わらないなんて事が当たり前になっています。民間企業もやる事は増えているでしょうが、そのために人員を補充したり、アウトソーシングしますよね?(それをしない企業は教員と一緒でブラックですよ)

人員の配置は昔のまま、子どもの数で学校に配置される先生の数が決まります。

しかし、子どもの数は年々減っています。業務量は増えます。1人の負担が増えます。悪循環ですね。

また、SNSの発達でその実態が公になりやすくなった事も一因です。特に昨年文部科学省が実施した教員のバトンプロジェクトで火がついた印象を受けています。思わぬ方向で活躍しました。

こうなると教員を夢見ていた人でも、諦めてしまう、避けてしまうのは仕方がないですね。

 

6.まとめ:どうすれば教員になりたい人が増えるのか

臨時教員免許状の発行で、非常事態を回避するのはまぁ良しとしましょう。しかし、ずっと臨時教員免許状を発行し続けるのは問題があります。良く言われるのが教員の質の問題です。

それまでは、教育課程を踏まえた発行や厳しい条件の試験を合格して発行していた免許状ですから、ある一定の質は担保されていました。(その中でも得手不得手ありますが)

しかし、今回の措置はほとんど誰でも先生になれてしまうんです。門戸が広がる分今までは採用しなかった人材も採用せざる負えない状況になっているのです。

これで不利益を被るのは子どもたちであって、未来の日本です。

教育に力を入れない国はいずれ衰退します。

そうならないためにも、教員の仕事を魅力あふれる仕事にすべきです。決して教師のバトンとかではなく、労働環境の改善です。業務内容の削減、外部機関に委託できるものはする、管理職の労務管理の徹底などです。

もともと教員になろうと考えている人に、教員の良い面はすでにわかっているでしょう。もちろんやるなというわけではありませんがね。

それより、この仕事を長く続けられるなと考えてもらえる。キャリアを積むことが出来ると考えてもらえる労働環境にすれば、こんなに魅力あふれる仕事はありません。

こういった所を改善していってもらいたいですね。

さて、今回はなぜ教員免許状がニュースに取り上げられているのかを、教員免許状の制度を基に記事を作成しました。自分の知識を使って、ソースも挙げながら作成しましたが、認識違い間違いがあればご指摘ください。

 

7.蛇足:校長先生と副校長先生

完全に蛇足ですが、校長先生と副校長先生として勤めるために、教員免許は必要ありません。この2つの役職は教員のマネジメントを行い、組織運営をする立場なので、子どもの前に教師として立つことがないからだと思われます。

だから、民間人出身の校長先生が誕生したりするんですね!